インフルエンザA型(H1N1)にまつわるアラカルト

 黄金週間も目前ですし、私としても明るく楽しい知的な話題でキャッキャウフフしたいんですが*1。例の元豚インフルエンザ、現インフルエンザA型に関して私の想像を超えて列島が狂騒しているので、ちょっと前回書ききれなかった事を書いておきます。決してネタ切れとか、さっさと終わらせて「A列車で行こうDS*2」のプレイ時間を捻出しようとかではありません。

松屋系バガヤロ様

 度々名前出して申し訳無いですが、前回触れた松屋のような過剰反応が広がっているようです。例えばasahi.com(朝日新聞社):途絶えた客足、在日メキシコ人店主「関係ないのに…」

 豚インフルエンザは、日本国内で商いをするメキシコ人にも影を落としている。店の客足が遠のいたり、商品を心配されたり。「関係ないのに……」。ちょっと過剰な反応に、メキシコ人店主たちは心を痛める。
 横浜市中区の繁華街にあるメキシコ料理店「ロス・アミーゴス」。静かな店内でマリア・サイマさん(46)が1人、客を待っていた。
 この夜の来客は2人。30人が入る店内は先週まで、予約なしでは座れないこともあった。それが豚インフルエンザ問題の発覚後、客足がぱったりと途絶えた。仕方なく、アルバイトも休ませている。
(中略)
 今回の騒ぎを「ただごとではない」と感じたのは、店の前を通った女性が「メキシコ料理だ。怖い怖い」と言って避けていったときだ。
 日本に住むメキシコ人の友人からも同じような相談の電話が来ているという。「本当に悲しかった。日本人はもう少し冷静に考えてほしい」と残念がる。

 因みにお店のHPはコチラ。本場のメキシコ家庭料理を味わえる本国の方にも人気なお店のようです。「横浜市中区常盤町4-52 文乃家ビル地下1階」だそうですので、お近くまでいらした際は選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。
 さて、おさらいですが。
 インフルエンザA型は、食品から経口感染する事はありません。モチロン、感染した豚の肉から人に感染する事もありません。
 理由は大きく三点。
 1、加熱されるとウィルスは死ぬ。
 2、胃酸にウィルスは耐えられない。
 3、体外ではウィルスは長時間生きられない。
 加熱調理が前提な豚肉は、むしろ安全な食物だと言えます。タンパク質も豊富だし。また、食品内にウィルスが混入していたとしても、強烈な胃の酸で死滅してしまうでしょう。生きたまま腸に届けるためヨーグルトメーカーがどれだけプロジェクトXしたか、っちゅう話です。そして、例え海外でインフルエンザ発症者がくしゃみ等で飛沫を食品に振りかけていたとしても、そんなのは時効です三秒ルール的に。食品を飛行機で直輸入していたとしても、ウィルスが生きたままでいるとはとうてい思えません。
 メキシコ産の食品もメキシコ料理屋も、安全です。少なくとも、他の国の料理と比べて危険ではありません。「怖い怖い」などと風評被害に荷担する行為は、厳しく批判されてしかるべき、と考えます。
 

詐称メール

「国立感染症研究所」を詐称したブタインフルエンザ関連メールが出回っている様です。

ブタインフルエンザの流行に便乗して、「国立感染症研究所」を詐称したメールが送られているという情報が寄せられています。当該メールは、yahooメールを使用しており、発信者欄には”国立感染症研究所 ”とあります。発信元メールアドレスは、受信者のアドレスと同一である場合が多く、明らかに発信者を詐称した不審なメールです。メールには「ブタインフルエンザに関する知識.zip」等と題した添付ファイルが含まれています。当方のウイルスチェックソフトウェアで、この添付ファイルが不正プログラム(ウイルス等)として認知されております。添付ファイルを開くことで、メールを受けたパソコンへの不正侵入やシステム破壊のおそれがあり、注意が必要です。 以下のような「詐称メール」を受信された方々におかれましては、添付ファイルを開かずにメールごと削除なさるようお願いいたします。

From: 国立感染症研究所 <任意のアドレス@yahoo.co.jp>
Subject:豚インフルエンザに注意!
添付ファイル名:ブタインフルエンザに関する知識.zip


皆様

豚インフルエンザの感染は拡大を続けている。メキシコ、米国、カナダ、スペインに続き、英国でも感染が確認された。世界が警戒を強めるなか、各国から次々と疑い例が報告されている。28日には、韓国で疑い例が発生した。メキシコでは過去数週間にわたって流行が続いている可能性があり、「人間の往来が激しい現代では、日本にもすでに上陸している可能性がある」と指摘する専門家もいる。自分の身を守るために、豚インフルエンザに関する基礎知識を身につけましょう。

国立感染症研究所

 ぶっちゃけた話。国立感染症研究所からメールが来ても、読まずに食べた削除して下さい。メールでのサービスは行っていないそうなので。
 不安を食い物にする実にタチの悪い行為ですが、こう言った悪戯に国立感染症研究所が対処すれば、ただでさえ貴重なリソースが無駄に消費されます。最終的に自分自身に返ってくるのですが、こう言った馬鹿げた行為をするバカにはそんな自覚はないのでしょうねバカだけに。皆様、気をつけましょう。

妄言と便乗

 生物兵器だとか言い出す香ばしい方もいらっしゃいますが(生物兵器じゃない病気の流行がどこかにあるのか、逆に聞いてみたくなります)、まあそれはいつもの風景です。特定の対象を非難し始めたりしない限り放置で良いでしょう。
 放置できないのが、ホメオパシーや自然治癒に頼って治療した(対策した)と思い込んでる人や、ビジネスチャンスとばかりに宣伝打つ怪しげな薬など。例えば、コチラのサイトに書いてあるような「対策法」や「理論」は、単に間違っていたり効果がないと言うだけではなく、有効な対策を阻害し、結果的に加害に手を貸している、と踏み込んで評価せざるを得ません。

好き勝手に「デマ」を流す人間の言葉をきいてはいけません。
今回は「ホメオパシー」などもだめですよ。
理由は「感染被害者は、周囲に危険をまき散らす加害者」だからです。

感染症の治療をせずに、周囲の多くの人達に危険をまき散らす人間は
「私がどんな治療法を選択するかは、私の権利です」と主張しますが、
実は今回の感染症は「対処について法律に規定がある」特別な疾患なのです。

特別な対処が取られているのは「死亡率が高い」からではありません。
インフルエンザのウイルスが「沢山の人に感染する」ものだからです。
100円の1/10は10円。1万円の1/10は1000円。
症状が軽くても、沢山の人達が感染すれば、死者は増えます。
そのために、感染者の発生が監視されているのです。

 引用は科学ニュースあらかると:欧州委員会は「落ち着いてください」と呼びかけていますより。引用先の「科学ニュースあらかると」様はインフルエンザA型やパンデミックに関して、大変参考になるサイトです。一度ご覧になる事をお薦めします。
 被害者が即加害者に転ずるような状況で、愚行権を持ち出す事に意味はありませんね。もとより、個人の自由や信念で周りを危機的状況に陥らせる事は許されません。これは医療系のニセ科学がもともと内包している問題ですが、パンデミックの場合それが先鋭化する、と言う事でしょう。


 大切なことなので何度でも言いますが。冷静に対処する事が重要です
 厚生労働省:新型インフルエンザに関する情報
 国立感染症研究所 感染症情報センター新型インフルエンザ(ブタ)
 科学ニュースあらかると
 良質な情報を入手して、冷静に判断して下さい。

*1:例:イヌノフグリ

*2:言うまでもなく、最近更新頻度が落ちている事とも何の関係もない。