おかしなダイエット〜ナットク？やれやれ大騒動編〜
前回までの粗筋
「南千住研究所Z」別名座敷牢。
美味しい雇用条件につられた『丼』と『猫』は店長という名の独裁者に地下深く幽閉されてしまう。
解放の条件は、人気爆発のランチメニューの考案。
なのに何故だかリンゴ談義に発展し・・・って言うかポニョ子人気に嫉妬を隠せない2人であった
納豆ダイエット
ミツドン「最近流行した単食系ダイエットだと、納豆にバナナですかね」
ポニョ子「納豆にバナナ！？ 嘘なにそれ、かけるの？ 混ぜるの？ 詳しく！」
どらねこ「実行する気かいポニョ子君？ ……納豆騒動の時は大変だったよ。あんな定番商品がまさか売り場ごと売れ切れなんて」
ミツドン「ヤルヤルの捏造騒動ですね。そう言えば、どらねこさんはスーパーで働いてらしたんでしたっけ」
ポニョ子「へぇー、試食のウインナーに楊枝を刺す係だったんですかぁー」
ミツドン「何そのピンポイントな専門職！ しかも疑問型ですらない！？」
どらねこ「そもそもあの人達はメーカーの人なんだけどね。――そうそう、ヤレヤレと言えば『来週ヤレヤレで取り上げられますよー』って食材が前もって知らされる事があるんだよ。『売れ行きが上がりますから売り場を広げて機会ロスしないようにして下さいね』って本部から通達が来て」
ミツドン「当方に迎撃の用意あり、って訳ですね。ちょっとマッチポンプ?」
どらねこ「数字が全然違うんだよ。影響出ることがわかりきってりゃ、そりゃ大人だもの対処するよね。ピーナッツや蜂蜜の時はそれこそウン倍って売れたかな。それでも、納豆みたいに普段からしっかり売り場面積取ってる商品が「全国的に品薄」までいくとは流石に想定外だったよ。」
ポニョ子「やっぱり納豆には何かあるんだ！」
どらねこ「と、思われてるのは確かかなぁ。健康の為欠かさず毎朝納豆食べる、って人は結構耳にするよね」
ポニョ子「納豆キナーゼか！ 納豆キナーゼが良いのか！ それとも大豆イソフラボン？」
ミツドン「詳しいねポニョ子ちゃん……そう言えば女性が大豆イソフラボンを摂りすぎると良くない、って話を聞いたんですけど」
どらねこ「摂りすぎるとホルモンバランスが崩れるらしいね。発がんリスクもネットではよく聞くけど、そっちは眉唾かな。まあ、問題になってるのはサプリとかで単離されたイソフラボンで、納豆や豆腐そのものじゃないけどね。長年ごく普通に食べられ続けてきて特に健康被害も出ない食品は、そもそもリスク評価の対象にならないし。疑われる理由がないでしょ？ ご飯や麦茶をリスク評価したりはしないからね。」
ミツドン「逆に言うと、薬として何パックも摂取する食べ方は想定されてない、と言う事ですね。過ぎたるはなんとやら」
ポニョ子「えええっ！？ それじゃ私の血液サラサラ効果はどうしたら良いんですか！」
どらねこ「そもそも「血液サラサラ」自体、相当眉唾な言いぐさだからねぇ」
ポニョ子「何言っちゃってるのかな。ちゃんと番組でも実験してたじゃない」
ミツドン「TVの「実験」は実際には単なるパフォ−マンス、実験ごっごと考えた方が良いよ。本気で実験しようと思ったら、それなりに人数揃えて諸条件を整えキチンと対照を取り、ある程度時間をかけて観察しなけりゃ査読に鼻で笑われて裏紙行きだけど。TVでそこまでやる余裕も意義もないし、餅は餅屋だから、学者に任せておいて良い所だよね」
どらねこ「血液サラサラで言うなら、例の番組に限らず六角形のスリットをサラサラと血液や血球が流れていく「実験」が有名だけど」
ポニョ子「はいはい。ドロドロ血液だと血球が詰まって、いかにもドロドロォ〜な」
どらねこ「あれって要は血液の流動性を見てるんだけど、実際の健康や病気との関連性は実証されてないんだ」
ミツドン「それじゃ、ドロドロ血液だから健康に悪い、とかいうのは……」
どらねこ「迷信、と言うより感覚的な思い込みだねぇ。しかも「血液サラサラ」に明確な定義があるわけじゃないから、同じ言葉でもある人は血液の流動性を話していたり、ある人は脂質異常症（高脂血症）を説明してたり……」
ミツドン「マイナスイオンみたいですね。」
どらねこ「サラサラ・ドロドロって体感的イメージ先行な部分なんてまさに、だね。その分、スローガンとしてはとても有効。」
ポニョ子「んじゃあ、キャッチコピーは『サラサラ血液ランチ』でキマリね♪」
どらねこ「……この話の流れで、その結論は無いんじゃないかな？」
ポニョ子「ついでに、ABOランチとか言って血液型別にメニューを分けたリ。几帳面なあなたにはちりめんじゃこがお薦め。一匹一匹お箸でつまみ上げて食べて下さい！」
ミツドン「うん、手打ちにしてやるからそこへなおれ。ここでそんな発言するとは良い度胸だ。」
どらねこ「居酒屋ランチで手打ちうどん、ミツドン君それアリだよ。鶏和え酢、ＡＢ型のメニューということで……」
ミツドン「謝れ！ 鶏和え酢、ほたるいかの人に謝れ！」
ポニョ子「そう言えば、なんで「納豆で痩せる」なの？ 健康に良いのは解るけど、別に納豆低カロリーってワケじゃないし」
ミツドン「……スルーかよ」
どらねこ「こんな話みたいだよ」
- ＤＨＥＡ*1濃度を高くすることで代謝が上昇し減量効果が期待できるという動物実験結果*2がある。
- 納豆に含まれる大豆イソフラボンを多く食べると、体内でＤＨＥＡ合成*3を促し、血中ＤＨＥＡレベルを上昇させる、と、謂われている。
- 故に大豆イソフラボンを多く含む納豆を食べるとダイエット効果が期待できる。かもしれない。
ポニョ子「かもしれない、とか、謂われてる、とかばっかり」
ミツドン「要するに、実証されてる訳ではないんですねそもそも。」
どらねこ「さっきミツドン君が「実験ごっこ」って言ってたけど、科学者がキチンと実験して結果を出した学説を、視聴者に解りやすく伝える「デモンストレーション」としての意義はあると思うんだ。でも、そもそも支持されてない前提を、しかも内容を捏造して公表しちゃった、と言うのがあの捏造騒動の本質で、このことがあまり丁寧に視聴者に語られたとは言えないとおもうんだよ。捏造もそうだし、論理の飛躍も問題なんだけど、そもそもの前提自体が支持されていないと言う事はもっと周知されていい」
ポニョ子「なによ、聞けば聞くほど良いとこ無いじゃないこんな腐れ豆」
どらねこ「ちょっとちょっと。納豆自体は優れた食品だよ。栄養価も効果に疑問符がつくような微量成分だけでなく、不足がちな人間が生きていくためには必須な栄養素が豊富に含まれているんだよ。鉄やビタミンＢ２が多いから、加工食品に頼りがちな人にはありがたい食品だと思う。手軽に食べることができるので忙しい朝に最適！ だから毎朝一パック欠かさずに、と言うレベルならむしろ推奨したい位だよ。美味しいしね」
ミツドン「問題があるとしたら、ご飯とせいぜいうどん位しか合わない、と言う点でしょうか。聞く所によると、中にはトーストに塗りたくる人もいるようですけど。おつまみ風に油と合わせるとレパートリーは広がりますが、それだと……」
ポニョ子「良いですね、モーニングに納豆トースト。名古屋の小倉トーストの向こうを張って、ウチの名物にしましょう！」
ミツドン「ウチは居酒屋だってばポニョ子君。って言うかこんな身近にいたよ塗りたくる人」
どらねこ「それに、ポニョ子君が言うとおり、納豆って別にそんなに低カロリーという程でもないしね。卵入れたり揚げたりしたら無論、その分カロリー増えるし」
ミツドン「まあ、一パックでご飯一膳楽勝だから、効率が良いおかずではありますけど。往々にしてその一膳分が余計になったりするんですよね（遠い目）……。納豆残ってるからおかわり、とか……」
どらねこ「いずれにせよ、これだけ食べていたら健康になれるって言う食品ではないからね。納豆の事を万能食品の様にいう人があるけれど、実はビタミンＡやビタミンＣは殆ど含まれていないんだ。だからこれだけ食べていたら壊血病など深刻な病気になってしまう可能性だってあるんだよ。モチロン、余計に食べればその分はしっかりと身になってしまう事を忘れないでね」
おまけ 納豆バトル
納豆、何入れる？
ミツドン「納豆にいつも何入れます？ 醤油は入れるとして」
どらねこ「ウチは普通ダヨ。長ネギ、からし・・・」
ポニョ子「そんなの入れたら、せっかくの納豆臭さが台無しじゃない！ あの臭いあってこその納豆なんだよ？ 納豆はストレート！」
ミツドン「いんや、何者をも受け入れる度量の広いコックリとしたコク味こそが納豆の本質。と言う訳で、私ん家はネギ・からし・青のり・七味！ ちょっとゆるむけど、大根おろしも可！」
どらねこ「メカブやオクラ、刻み昆布とかとろろ昆布とか、粘りもの同士も合うよね。」
ポニョ子「邪道！ 納豆はあくまでタレと醤油のみ！」
どらねこ「ポニョ子君はタレ有り派なんだね」
ミツドン「なに、あの小袋破っちゃってるの？ いいかいバージニアよくお聞き。あのタレと書いてある小袋は、糸がついた納豆のフィルムを手を汚さないよう捨てる為に付いてるんだよ？」
ポニョ子「はぁ？ マジックカットが何の為に発明されたと思ってんのこの人？」
どらねこ「アレいつも途中で裂けてピチャッて指にかかるんだよね、っていいから落ち着きなよ2人とも。そう言えば、上でも言ってるけどポピュラーなトッピングとしては卵は外せないよね。熱々ご飯に生卵かけてそこに納豆のっけると、ご飯の熱でほの白く固まりかけた白身が納豆と合わさって……」
ポニョ子「チョイ待ち。納豆に入れる卵は黄身だけでしょう。粘り着くような黄身のコクと香りが納豆を包み込んで黄色い糸が……。白身のドロリで薄めるなんて言語道断。そんなの、味噌汁に捨てなさい！」
ミツドン「ストレート派じゃなかったの？ まあ、私はウズラの卵派だけど。」
ポニョ子「邪道！」
どらねこ「小賢しい！」
ミツドン「絶不評！？ だってだって、他にあんかけ焼きそばと中華丼位しか用途ないじゃんウズラの卵！」
納豆、何回かき混ぜたらいいの？
ミツドン「ところで、さっきから気になってたんだけど。……あの隅っこで案山子みたいになってるわらづとの山は一体何？」
どらねこ「うわぁ、これ全部ついこないだ倒産した有名メーカーの藁苞納豆だよ。一体何本仕入れたんだい？」
ポニョ子「１gross」
ミツドン「横文字で言えばわかんないと思ってるだろ？グロスっていったら1ダースの1ダースだから、つまり12×12で、ん〜と144か。144だ！？」
ポニョ子「安かったんだからいいじゃない！ 文句があるならダイエット効果があるなんてデマを流したテレビ局に言いなさいよ！」
ミツドン「……まあ、どうせ注文する時 単位：ダース 数量：ダースって注文FAX入れちゃって、向こうが倒産絡みでドタバタしてノーチェックで通しちゃったんだろうけど。請求書はお店にまわるからどうでも良いとして、兎も角納豆をどうにかしないと手狭な上に臭くて・・・ってもうたべてるし！」
どらねこ「えっ、旨いよこの納豆。流石茨城産」
ポニョ子「わぁ〜、何この猫。納豆かき混ぜないで食べてるし、通報！ 通報！ 近藤(ちかふじ)社長に通報よ!」
ミツドン「納豆は混ぜると粘りだけじゃなく、旨みも増すと言われてますよね。ポニョ子ちゃんも納豆かき混ぜ派？」
ポニョ子「トーゼン。割り箸でグリグリ、目指せ１万回！」
どらねこ「それ、なんかの企画でやってたよね。たしかペースト状の別の食べ物になっていたような・・・。納豆は食感が大事でしょ。豆の形がしっかり残ってこその納豆なんだよＪＫ」
ミツドン「いやいや、あの粘りあってこその納豆じゃない。それがイヤなら枝豆で十分」
ポニョ子「そうそう、前まではめんどくさいから混ぜない派だったけど、テレビの実験を見てからは断然かき混ぜ派ヨ」
どらねこ「だいたい、旨みが増すとか実験結果をだされたくらいで、自分の主義主張を変える奴はどうにかしてる。食べ物は、旨みが強ければ良いってモンじゃないし、大切なのはテクスチャーさ」
ミツドン「テレビ放送前からかき混ぜ派だけど、旨みを引き出す努力は大切だと思うよ行き過ぎて海原雄山になっても困るけど。あと、粘りだって納豆ならではのテクスチャーじゃないか」
どらねこ「ぐむむ・・・確かに」
ポニョ子「ふふん！ アンタの負けね」
ドボドボ・・・
どらねこ・ミツドン「！！」
ポニョ子「何、二人とも」
どらねこ・ミツドン「納豆かき混ぜる前に醤油入れちゃダメ！！ていうか、醤油入れすぎ！！」
今日のメニュー イカ納豆＆マグロ納豆
- 先ず納豆を器に移し、これでもかっとかき混ぜる。つぶが多少崩れた方が食感が良くなる。
- イカは
スーパーで半額セールのイカそうめんを買ってくる細切り。マグロは客の食い残したブツに包丁を入れて一口大に。崩れてもOK。 - 醤油を加え、納豆と和える。それぞれ以下を加え、あじにアクセントを。
ポニョ子「……でも、もうメニューにあるよね、イカ納豆もマグロ納豆も」
ミツドン「居酒屋だからねー」
どらねこ「納豆は粒が残ってた方が」
- 作者: 菊池誠,渋谷研究所X
- 出版社/メーカー: 楽工社
- 発売日: 2009/07/01
- メディア: 単行本
- 購入: 23人 クリック: 327回
- この商品を含むブログ (34件) を見る
おかしなダイエット シリーズリンク
おかしなダイエット 〜食べ物はお薬じゃないよ編〜
おかしなダイエット〜ナットク？やれやれ大騒動編〜
おかしなダイエット 〜危ない！？ 本当は怖かった危険なダイエット編〜 ←NEXT！
おかしなダイエット 〜正しいダイエット編 きのうなに食べた？〜
おかしなダイエット 〜正しいダイエット編 食べないばかりがダイエットじゃない！？〜
