選ばれし者の恍惚と不安

 
 
   二月くらい前でしょうか。ある日、何気なく郵便受けをのぞいたらこんな封筒が→
 
  (写真では見にくいですが)赤字で「折り曲げ禁止」?
 
   それにこのマーク、どこかで見覚えが……。えーと。

   ああ、某ゲーム雑誌で有名なあの会社か!
 
   ハテ、なんだろうと開けてみると、中に……

 

   紙と、これはカード?
 

   ん?
 

 !!


    こ、これはもしかして

 いやったぁ! 氷川へきる特製QUOカード*1ゲットだぜ!!
 
 そう言えば応募してました「氷川へきる Three-month Fes 3社合同キャンペーン」。
 これは、6・7・8の3ヶ月、毎月発売される氷川へきるぱにぽに*2スピンオフ(?)マンガの『ベホイミちゃん 2巻』*3ジャイ子ちゃん』*4まろまゆ 2巻』*5QUOカードの3人は主役。向かって左から発売順)を3冊全部買って付属の応募券を送り、抽選で300名に特製QUOカードが当たるという、作者買いするオタクファン心理を鋭く突いたキャンペーンです。
 出版社をまたいだ大々的なキャンペーンの割に、最終締め切りが9月上旬、郵送されたのが、確か10月半ばだったので、なかなか迅速な対応だといえます。さすがeb! ファミ通でハガキ慣れしてますね。
 
 さて、なぜまたこんな二月も前のことを持ち出したかというと、当然自慢したいからなんですが、実はある懸念がずっとつきまとって手放しで喜べないんですよ。※以下は私の推測であり、確たる根拠のないことをお断りしておきます。
 
 初版10万部売れる本があるとします。
 キャンペーンに応募しようと考える人が、まあ全体の5パーセント程度いるとしましょう。応募総数は5000通、当選数が300として当選確率はおよそ6パーセントですか? QUOカードが500円、コストは郵送代の50円のみなのでカードの+プライスレスを考えれば、悪い賭ではないですね。
 今回のキャンペーンの場合。応募するには、三冊の単行本をすべて買う必要があります。つまり、中に一冊すごく売れた本が混じっていても(例えば『ぱにぽに』とか)、それは応募総数には影響しません。一番売れなかった本が応募数の上限になります。
 で。ハッキリ言ってこのラインナップだとそれはジャイ子』です。間違いありません。
 もともと作品集と言えば聞こえは良いですが、18禁ゲーム雑誌「テックジャイアン」に掲載された各種マンガを寄せ集めたのが『ジャイ子』です。それだけに、私のようなマニア一部熱狂的ファンにとっては今キャンペーンの目玉とも言うべき本なんですが*6、万人受けする本ではないし、万人に薦められる本でもありません。初版何万部も刷るわきゃねえよなあ、と冷静な方のゴーストがしきりに囁いています。
 仮に、『ジャイ子』が初版1万部で最小発行部数だったと仮定します。この時点で当選確率は10倍に跳ね上がりますが、なお残りの二冊も買ってオマケに3ヶ月間、応募券を持ってなければいけません。最後の単行本を買うまでキャンペーンを覚えている必要もあります。このハードルは、まあ2倍くらいに設定できるのではないでしょうか。
 さて、計算してみましょう。応募しようと考えた人はジャイ子読者の5パーセントで500人そのうち、半数が脱落するとして、最終的な当選確率は……
 ……120パーセント?
 要するに、このキャンペーンは「応募者全員プレゼント」だったのではないでしょうか。
 
 まあ、だからどうという話じゃないんですよ。ファンとしては貴重なグッズが確実にもらえてありがたい話であります。
 同時に、ファンとしては、もうちょっとハードルが高い方が有り難みがあるのになぁ、とも思ってしまうんです。複雑なんですよ、マイナーメジャーな作家*7のファンは。

 私は、氷川へきるをある種の天才だと考えています。赤塚不二夫ではありませんが、『ジャイ子』を読んで、彼のそこにあるギャグ*8は時代の最先端であることを確信しました。
 だからといって、お薦めはできかねますが。
 

*1:なお、写真は数枚撮った中で一番くるみの写りが悪いモノを選択しました。

*2:氷川へきるの代表作。一言で言うと、「子供で天才な金髪先生が高校で暴れられる」話。ところで、「ぱにぽに」はパニック・ポニーテールの略だと人伝に聞いたのですが、真偽とソースはどうなんでしょう?

*3:6月27日発売 ガンガンファンタジーコミックス『新感覚癒し系魔法少女ベホイミちゃん2巻』 発売:スクウェア・エニックス

*4:7月25日発売 TECHGIAN STYLE『氷川へきる作品集 天使ジャイ子ちゃんDX』発売:エンターブレイン

*5:8月9日発売 電撃コミックスEX『まろまゆ2巻』発行:アスキー・メディアワークス 発売:角川グループパブリッシング

*6:残りの二冊も似たようなモノではあります。どちらも二巻だし。なお余談ですが、私としてはベホイミ2巻の購入が応募の転機だったように思います。

*7:アニメ化まで成し遂げた人を仮にもマイナー呼ばわりして良いのだろうか。う〜ん、でもメジャー作家じゃないよなぁ

*8:具体的にはおじいちゃんはZZ