僕の考えた逆転検事レビュー
久しぶりに本屋に足を伸ばしたら、なんか『ユッカ』*1とか『はやて×ブレード』*2とか『百鬼夜行抄』*3とか待ちわびてた新刊が次々出てて、チェック漏れに嬉しいやら不甲斐ないやら。
で、本に囲まれ至福の時を過ごしていたんですが。祥人さんの『ユッカ』2巻にこんな台詞が。
「ゲームが好きなのがかっこわるいとでも言うの!?」
「ふがいない!」
「なぜ堂々と胸を張らないの!? もっと自分の好きな事に誇りを持ちなさい!」
あああっ。京子さん良い事言った! いま良い事言ったよ! ただの痴女ゲーム馬鹿じゃなかったんだね!? いやむしろ真性のゲーム馬鹿?
私は間違っていました。
いい年こいて、小学生達に混ざってゲーム売り場で試しゲーなんて恥ずかしいと思ってましたが、これからはガンガン乱入します!(ジャリって何であんな強いんだろ?)
履歴書の趣味の欄にも、堂々と「TVゲーム」と書きます! 所持ハード付で!
ゲーム脳サイトにブクマで[トンデモ][ニセ科学対策]、自重して我慢してた[14へ行け]タグを付けて付けて、付け回ってやります!![これはひどい]もついでに。
今。高らかに、ゲーム好きの端くれとして、コミットメントを表明したいと思います。
いい年こいて、ゲームが好きで悪かったな!
……なんか後ろ向きだなぁ。
真説 逆転検事
そう言う訳で、最近プレイし終わった『逆転検事』のレビューです。
ゲーム自体は、かなり前に終わっていたんですが。長い事放置していたのには訳があります。
ゲームを作る以上、できるだけ多くの人に遊んでもらいたい‥‥。これは、制作者の魂からの願いです。
そしてそのためには、できるだけ多くの人に、ゲームのことを知ってもらわなければなりません。
その手段こそ‥‥“宣伝”。
(中略)
しかし!
宣伝に関しては、常にあるジレンマがつきまといます。
それは‥‥
《物語の内容が、公表されてしまう》『逆転裁判』は、ミステリーを題材にしたゲームです。
ミステリーにとって一番重要なのは、“意外性”‥‥まさに、新鮮さこそが命。
個人的には、いっさいの情報を知らない状態で遊んでほしいのです。
逆裁シリーズ生みの親、巧 舟(たくみしゅう)様のお言葉です。
彼は他にも「カートリッジに入ったゲームと言う形式は実にミステリーに向いている。残りページが分からないから」といった趣旨の発言もされております。
つまりネタバレ厳禁。
しかし、どうレビューしてもネタバレを完全に防ぐ事はできません。言えるとしたらシステム周りの感想くらいでしょうか。例えば、例えばですよ、1例として「ラストだけやけに長い」なんて書いたら、丁度今ラストの章をプレイしている人が、それが最終章だと気付いてしまいます。これは前出したカートリッジの利点を帳消しにする行為です。
むろん、巧舟様の意向は最大限汲み取る必要があるでしょう。ファンとして。
どうしたもんだべ、と考える事半月。悩んでいた私の枕元に千尋さんの霊が降りてきました。(みつどん曇天日記はニセ科学対策を応援しています。)
「発想を逆転させるの、みつどん」
………そうだ! 木は森に、手紙は札指しへ。ネタバレしたくなければ、大量にネタを混入してどれが本当のネタか分からなくすれば良い。
つまり。本物の『逆転検事』ではなく、僕が考えた『逆転検事』をレビューすれば良いんです。
と言う事で。
※以下の記述には、大体30%位嘘・偽り・誇張・創作が含まれています。
この事をお忘れ無く。
レビュー『逆転検事』 新機能
いやぁ、面白かったですね『逆転検事』。もう買われましたか?
今回、4がイマイチ御剣怜侍が主人公と言う事で、法廷よりもその前段階、つまり捜査がメインになっている関係で幾つか新機能が追加されています。
最大の特徴は、やっぱり「主人公を操作できる」事でしょう。ちっちゃな御剣が画面をちょこちょこと動き回るのは、なかなか良い感じです。最初は戸惑いましたし、場所によっては動きづらかったりしましたが、何というか「捜査してるぞ!」感を強く感じました。演出にも幅が出ますしね。
それと特筆すべきは、なんと言っても「ロジック」機能。
調査中に見つかった「情報」を複数選択し、その組み合わせが正しかった場合「まとめる」と新たな「情報」に統合される、という機能です。勿論、間違っていたらペナルティ。この統合の瞬間が本当にスリリングです。エフェクトも気持ちいい! 統合された「情報」が、また次の「情報」と繋がって――とロジックが連鎖していくカタルシスが味わえます。章クリア後にも残った、他の情報と繋がらないのでてっきりダミーと思った「情報」が、クライマックスで……これ以上はネタバレですね。いや、まさかああ繋がるとは。
パートナー選択制も、良い試みだったと思います。
例えば、糸鋸刑事をパートナーに選ぶと、捜査中「気になった点」を画面に指摘してくれます。このサポートがないと画面の当該部分を直接タッチしないといけないので、手間を大幅に下げてくれます。他にも、指紋検出等科学捜査が必要な時は茜ちゃん、似顔絵作成に天流斎 マシス(なお、今回人物ファイルは「つきつける」できません。逆裁1と同じです。)、故人の情報を知る為にハミちゃんと、状況に応じて相手を切り替えていく必要があるんですが、逆裁ファミリー皆で事件を解決しているようで凄く嬉しかったですね。
パートナーが新キャラの美雲の時使える新機能「ぬすみちゃん」も面白かったです。
一種のシミュレーションなんですが、現時点で得られている情報に沿って現場が再現される機能で、犯人や現場の動きもトレースできるすぐれもの。「ロジック」や新証拠で情報が変われば再現現場もアップデートされます。つまり、逆裁のキモ「ムジュン」が視覚化される機能です。今までの図解説明より格段に解りやすい上に、思わぬ発見や展開に繋がって、なかなか奥が深いです。
ストーリー・構成
ネタバレ避けつつ粗筋を。
瀕死の男から、さる密輸事件の証拠品を預かった御剣怜侍は、国際的密輸シンジケートから狙われるハメに。ハイジャック・拉致監禁・殺し屋・おばちゃんと次々に繰り出されるシンジケートの妨害をかわし、御剣怜侍は証拠品を無事、法廷に運び込む事ができるのか!?
全ての検事を憎む国際捜査員 狼士龍。密輸捜査の指揮を執っていた狩魔冥。そして背後に見え隠れする真実を狙う大泥棒「八咫烏」の影。
「おいおい。賭けていいのは、ジブンの命まで、だぜ?――それが俺のルールだ。」
「ゴオオジャスゴージャス!なかなか良いマジックを使うじゃないか」
立ちはだかる、不敗の伝説。
「!?……まさか…先生は先月――」
「忘れてはおるまい、怜侍。狩魔は、完璧をもってよしとする。」
人々の思惑を乗せて。
「異議あり!この裁判……私が担当しよう」
今、法廷に槌音が響く。
メインのストーリーはなかなか燃えるモノがあります。特に予備法廷、まさか検事席になるほど君が立つ日が来るとは……対決シーンは真剣に手に汗握りました。
プロット面でも、真宵ちゃんが出てこない事が逆にヒントになっていたり、今までのシリーズと比べ一捻りしている印象があります。利き手系が多い*4のと、操作制限系が重なったのはちょっと食傷でしたが。
ただ、肝心のトリック面がいささか弱かったですね。空中浮遊は逆転サーカスで既出ですし。「海で墜落死」とか「部屋の入れ替え」とかのトリックは良くできていると思うんですが。
それと、構成の面で言うなら時間が行ったり来たりするのは好ましくないですね。演出面での効果が特にある訳でもなし、そのところがちょっと完成度の低さに繋がっているように感じてしまいます。
それと、えーと各章の長さがまちまちですね。最初は短めなので、その調子でテンポ良く進めていくのかと思いきや、最後の方が……。こう言う所はもう少し練り込んで頂きたかったかな?と思います*5。
結論(ここはマジ)
全般的に、良くできたゲームかと思います。少なくとも4よりは楽しめました。脇キャラ含め、できる限り逆転裁判のキャラを出そう!と言う意気込みも個人的には買いたい所です。もっとも、それが裏目に出て、なんだか公式二次創作を遊んでいる気分になる所もありましたが。
一番顕著なのは、最後の方で御剣に突きつけられる「問い」のシーン。法を守るのかそれとも、という決断なのですが、ここの処理は明確に間違っていた、と私は考えます。それは御剣、ひいてはユーザーの下した重い決断を、蔑ろにする処理です。恐らく逆裁2のオマージュなのでしょうが、だったら結論を口に出させてはいけなかった。あるいは、百歩譲って4の様に処理するべきでした。
システム面での完成度の高さと、どうにも後半息切れしてくるシナリオのレベルが釣り合っていない、と言うのが最終的な私の感想です。積み上げが効くシステムと効かないシナリオの差、なのでしょうか。制作者ブログ等を読み、前作を超える事の難しさは理解しているつもりですが。
いかがでしたでしょうか。参考になりましたか? ならない様に書いたんですが。
くれぐれも、上記のレビューは、最後以外創作であることをお忘れ無く。
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